MAEDA BIM ~ BIMへの取り組み ~

飯田橋駅西口地区第一種市街地再開発事業

計画における5つのテーマ

  • 都市部の交通結節点にふさわしい飯田橋駅前の基盤整備
  • 飯田橋地区のランドマークとなる業務・商業・居住機能の集積
  • 外堀や外濠公園など自然を活かした豊かな緑の創造
  • 歴史的環境を活かした地域のアイデンティティの確立
  • 駅前の回遊性を生み出す豊かな歩行者空間の創造
飯田橋駅前という都心部の交通結節点にふさわしい富士見地区のシンボルとなる業務・商業・住宅等の機能をもった再開発プロジェクトである。敷地周辺には牛込見附・外濠公園といった千代田区の歴史ある自然遺産が豊富にあり、それらの豊かな自然環境と敷地内の緑化により敷地周辺と一体的な整備を行う。さらに環境負荷低減に対する取り組みとして計画敷地内のCO₂排出量の大幅な削減を目指している。
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神楽坂の昔ながらの風情や、この地に多く住むフランス人の洒脱さを「粋とエスプリ」というデザインコンセプトで表現している。細長い台形の敷地形状を活かし、比較的幅の狭い方を住宅棟、広い方に業務・商業棟を配置し、台形の斜め2本のラインを生かして面の重なりでボリュームを構成することで全体が一つの計画であることがわかるようなデザインになっている。設計業務は日建設計・前田建設工業2社の共同企業体(以下設計JV)により設計された。設計JVとの作業と並行する形で前田建設BIM推進グループにて3次元のモデル入力と検証・解析業務が行われた。前例のない大規模物件におけるBIMツールの活用により、当初より施工展開までを睨んだ下記の項目を実施内容に掲げた。
本プロジェクトでのBIMの目的
  • BIMによる設計妥当性の確認
  • データのプレゼンテーション活用
  • 環境負荷の検証
  • デジタルモックアップによる施工確認
  • 施工の省力化や安全への寄与
以上の内容は施工のステップも含めここまで大きく3つのフェーズに分けて実施され、何が効果的であるかをその都度検討しながら取組テーマを抽出していった。
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既存

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解体後

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竣工時

敷地周辺と解体建物を再現したBIM│飯田橋駅周辺を再現し建替前と後をウォークスルーで比較できる

フェーズ1 | 2009年7月

  • 基準階の3次元設計(構造/設備の干渉チェック、貸室形状確認、共用部形状確認)
  • 屋上の次元設計(外装と構造の入力、ゴンドラやメンテナンス動線の入力)
  • PAL値の算出(デザインと使用材によるバリエーション検証)
  • 執務空間の照明シミュレーション(外観での照明の見え方、室内の外光を含む明るさ感の確認、省エネ効果検証)
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基準階の3次元設計│意匠・構造・設備を統合した基準階BIMは初期に入力され問題点の抽出に活用された

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PAL値の算出│開口部形状とガラスのバリエーションで複数案をタイムリーに算出

執務室内の気流解析│建築データをIFCで変換し解析ソフトへ渡し、天井のプロットや家具のレイアウトも再現する

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断面温度コンタ

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平面気流ベクトルと温度コンタ

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執務空間の照明シミュレーション│建築データを照明解析ソフトへ変換、外部自然光と照明器具をミックスした解析が可能としている

フェーズ2 | 2010年4月

  • 低層部の3次元設計(構造/設備の干渉チェック、共用部形状確認、パサージュのデザイン検討)
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低層部干渉チェック│ 設計段階で設備を入力しレビューを実施、納まり上の問題を予見する

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低層部の3次元設計│低層部のデザインは変更が繰り返されるが、問題点を抽出する意味でも早期にBIM化する意味はあった

フェーズ3 | 2011年6月

  • 地下躯体の出来形入力(スロープ形状、打設工区割検討、設備データ統合)
  • 上部鉄骨の出来形入力(全般ディテール確認、施工手順検討)
  • 屋上の設備データ統合(納まりとメンテナンス動線の確認)
  • 施工仮設計画
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仮設計画シミュレーション│設計のBIMに仮設情報を追加し時間軸(4D)を与えて視覚化する

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外装CWの検討用モデル│施工段階ではアルミ枠形状含めてさらにモデルの密度が上がる

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地下躯体のコンクリート強度│コンクリート強度が切り替わる箇所を視覚化し確認

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地下躯体と上部鉄骨の詳細データ│構造設計データは着工時にさらにファブリケーションを意識した詳細なデータへとブラッシュアップされる

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地下躯体の打設手順の確認現場躯体図ベースの地下躯体BIMに打設手順を付加した4Dシミュレーション

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屋上・地下の設備データ統合設備設計データは着工後に設備サブコンにより設備施工データへとブラッシュアップされる

以上の取組みでフェーズ1とフェーズ2に関しては設計JVの設計図をベースに行い、フェーズ3からは前田・鹿島2社の共同企業体(以下施工JV)と前田建設BIM推進グループとの共働で施工情報を取り込む形で実施した。
その後さらにマテリアル検討やカラースキームを含めたフェーズ4を実施し、当時取り組み始めた維持管理の場面でのBIM活用を展開した。
大規模物件における施工まで含めた一貫BIMとして或いは設計事務所とゼネコンの共働のBIM取組として貴重なデータが集まった。

前田建設日建設計

山崎隆盛
日建設計 執行役員 設計部門
山崎グループ代表

大村高広
日建設計 プロジェクト開発部門
都市開発グループ副代表

鈴木章夫
前田建設工業 建築事業本部
企画・開発設計部長

グランドデザイン・コンセプトは「粋とエスプリ」

鈴木警察病院の移転が発表された2001年に、前田建設は日建設計さんとともにワーキンググループを立ち上げ、再開発に必要な都市計画等の課題を逐次解決しました。本再開発事業では、全体の容積率930%のうち、600%は業務施設、260%は住居施設、70%はその他関連施設ならびに商業施設という上位計画のもとで、日建設計さんと前田建設が設計JVを組ませていただきました。

山崎本再開発事業は敷地が非常に細長いことと、千代田区側の周辺には皇居をはじめ靖国神社や外濠公園などの広大な緑があることが1 つのポイントです。一方、外濠を挟んだ反対側の新宿区には江戸情緒漂う神楽坂の町並みがあります。これが全体デザイン計画に着手するきっかけになりました。再開発組合のご要望により、海外の著名建築家を含めたデザインコンペが行われましたが、私たちは当初からプロジェクトに関わってきたので海外チームにデザインの主導権を渡すことは絶対に避けたいと考え、「粋とエスプリ」というこの地域の特徴を明快に表したコンセプトでコンペを勝ち抜きました。「粋」は神楽坂の昔ながらの風情を表現し、「エスプリ」はこの地に多く住むフランス人の洒脱さを表現したものです。

2面の異なる基調色とガラス面の重なりで個性を表現

山崎まず細長い台形の敷地形状を活かし、幅の狭い方に住宅棟、広い方に業務・商業棟を配置しました。超高層の建物の重量感を軽減するために外観をいくつかの面に分割し、ガラスを多用して統一感を図り、軽快でシャープなデザインにしています。外濠側と皇居側の2 面に異なる色調を象徴的に使用。外濠側は、神楽坂の黒塀のブラック、クールなグレーやシルバーと、縦のルーバーで日本的な繊細さを基調にして「粋」を表現。皇居側は、フランスから連想されるシャンパンゴールドと同系色を採用し「エスプリ」をデザインしました。西日を防ぐ役割も果たす外濠側の縦ルーバーと、皇居側の水平ルーバーが、デザインの2面性を引き立てます。

道路を整備し、環境にも配慮
災害時には一時避難所として活用

鈴木外濠側の建物ファサードの低層部のデザインとランドスケープも、本再開発事業の特徴ですね。

山崎3層までの商業エリアは、店舗スペースを細かく分節して集積させ、道行く人々が立ち寄りやすい賑わいを演出しています。また、2棟のタワーの2階部分をパッサージュ状の広場でつなぎ、皇居側と外濠側とをつなぐ貫通道路として敷地内のエリアを分断しないよう配慮しました。さらに、足元にはふんだんに石を使って江戸の歴史や文化を紡彿とさせる見附の雰囲気を演出し、敷地には数種類の桜を植えて周辺に現存する桜並木を補強する計画です。

鈴木外濠公園通り側を敷地境界から都市計画条件により10mセットバックすることは、都市防災と街並み形成の観点からも大変有効であると思います。

大村敷地北側の外濠公園側の道路幅員は従前の約5.0m~7.5mから12mに拡幅し、6mの歩道状空地を整備して、あわせて10m近い歩行者空間を創出します。同時に、南側・西側・東側の道路も整備して、安全で安心な歩行空間をつくります。また、敷地内に300㎡ ~1000㎡の広場を3カ所設け、通常は賑わいの場とし、震災発生時には人々が安全に一時避難する場として整備する計画です。こうした都市計画上の公共貢献に対し、容積率の特典をいただきました。環境負荷低減の効果については、緑豊かなこの地の良質な環境を大切にしたいと考えました。また、CO₂削減についても極めて高い効果をめざし、CASBEEの最高クラスであるSクラスを取得する予定です。外濠を通り道にして流れる風を有効活用できるよう、さまざまな検討をしました。本再開発事業では日本で初めて、設計が本格的になる前の都市計画の段階で、区域内のCO₂排出原単位を業務の平均原単位に対して60%減を目標とし、そのためのさまざまな工夫を盛り込みました。これにより、開発自体が省資源・省エネルギー・環境負荷低減につながったと感じます。

鈴木2014年秋に完成し、既存の街の400年の歴史と融合して新しい魅力的なまちが誕生します。さまざまな視点から見ても文化が薫るツインタワーは飯田僑のランドマークとなり、未来にその姿と人々の思いを伝え続けることと思います。

平和 東上野一丁目新社屋

平和・オリンピアの開発拠点となる新社屋である。スキップ状に吹抜けを設けたシンボリックな曲面ガラスカーテンウォールのダブルスキンが特徴であり、これらの複雑な構成を発注者に説明するうえでもBIMの採用は必須であった。構造計画ではCFT柱の鋼管内に鉄筋を挿入したCFT Plus(鉄筋挿入型コンクリート充填鋼管造)を採用した。鉄骨・制振ブレース・配筋・ボルトにまでおよぶすべての部材のBIM化をおこない、各ディテールの確認と鉄骨建方完了後の内蔵鉄筋を鋼管内に挿入するCFT Plus独特の施工シミュレーションをおこなっている。ダブルスキンの外装は実施設計段階でのデジタルモックアップ、その後3Dプリンタによる RP※1、さらに、施工段階に入って原寸モックアップによる最終確認をおこない、関係者のイメージの共有とディテールの精度を高めた。また CFD※2 により夏季のキャビティ部の温熱環境検証をおこなったが、北側を主開口とするガラス部は直射光によるペリメータ部の熱負荷の影響 が少ないため、結果、複雑な機構を組み込むことなく上下開放型ダブルスキンで十分な効果が期待できることが判った。局面が折り重なる外観形状とステップ状の吹抜けにより基準階と呼べるフロアがないほど複雑な計画であるが、計画当初からBIMを活用することで関係者全員が共通認識をもちながら円滑なプロジェクト推進をおこなった。
平和 東上野 一丁目新社屋

※1 RP:RapidPrototyping▷3D-CADのデータを利用して試作品をつくること

RP (Rapid Prototyping): Use of 3D-CAD data to make prototypes

※2 CFD:Computational Fluid Dynamics▷液体の運動をコンピュータで解析・シミュレーションする手法

CFD (Computational Fluid Dynamics): A computerized analysis and simulation method for the motion of fluids

ダブルスキンイメージ
ダブルスキンイメージ
3Dプリンタによるダブルスキン
3Dプリンタによるダブルスキン
ダブルスキンキャビティCFD解析
ダブルスキンキャビティCFD解析

ダブルスキンの環境性能

執務空間から追い出された構造フレームはキャビティ内に納められ、奥行きのあるバッファチャンバーをつくり出している。直射光によるペリメータ部の熱負荷の影響を検証するため、BIMを活用した環境シミュレーションにより夏季におけるキャビティ部の温熱環境の検証をおこなった。

IM タワープロジェクト

先に竣工した東上野一丁目新社屋と同じ並びに建つオフィスビルの計画である。一街区隣の東上野一丁目新社屋とデザイン要素をそろえることで統一感のある外観を形成し、ツインタワーとして新しい上野のシンボルになることを目論んでいる。ファサードは1棟目と同様の曲面アルミユニットカーテンウォールのダブルスキンであり、同種のディテール・モジュールを用いている。上野駅・御徒町駅や高速道路からの見え方をBIMを用いて検証をおこない、外装カーテンウォ―ルの形状やフィンの形状やサインの配置をスタディしている。建物に高い意匠性を要求する発注者であり、内外装の承認段階においてはBIMを用いたイメージの共有が重要視され、使用予定のマテリアルのテクスチャーを取り込んだイメージパースが用いられた。
外観パース
外観パース
立面パース
立面パース
断面パース 事務室
断面パース 事務室
ダブルスキン部の熱流体シミュレーション
ダブルスキン部の熱流体シミュレーション
屋上部デジタルモックアップ
屋上部デジタルモックアップ
低層部の建築と設備との統合状況
低層部の建築と設備との統合状況

住田町役場

岩手県住田町新庁舎は、工期とコストを厳守するためにデザイン&ビルド方式で発注され、前田建設グループが選定された。地場の産業が林業であることから木造とすることが条件であり、BIMを活用することで「発注者の承認をスムーズに得る」、「建築と設備を統合し高品質な設計・ 施工をおこなう」、「デジタルモックアップ・解析等の検証をおこなう」、「町民への情報開示」の4つの点が期待された。設計をおこなう上での条件が「木造の架構をそのまま見せたい」という発注者側の意向であり、これは構造体に高い意匠性を期待するものでもある。これに対してレンズ型の大型トラスと内部が透視できるラチス耐力壁を用い木造の架構を前面に出し、これらの意匠についてBIMを活用することで発注者および施工側へ情報共有を図った。天井を貼らない部屋が多数あるため、現しとなる設備計画も重要となる。これについては着工前に発注者側とフルBIMによるリアルタイムウォークスルーを用いた打合せを実施し認識を共有しスムーズな承認 に至った。木造のBIMは前田建設にとっても新しいチャレンジであったが、木骨ファブと協業しながら今後増えていく木造一般建築のモデル物件とすることができた。
住田町役場

意匠・構造・設備・備品を統合した3次元モデルの活用

BIMを用いたセクションパース
BIMを用いたセクションパース
全体のBIM架構イメージ
全体のBIM架構イメージ
図面と3Dモデルが一体化されている
図面と3Dモデルが一体化されている
一般の方を対象にしたホームページを作成一般の方を対象にしたホームページを作成一般の方を対象にしたホームページを作成
一般の方を対象にしたホームページを作成。
BIMデータを動画で閲覧できるようにした。
※現在ホームページは閉鎖
架構を現しにした外観イメージパース
架構を現しにした外観イメージパース
バイオマス熱源設備のイメージ
バイオマス熱源設備のイメージ
発注者への説明風景
発注者への説明風景
設備が露出する内観イメージ
設備が露出する内観イメージ
設備が露出する内観イメージ
設備が露出する内観イメージ
設備が露出する内観イメージ
設備が露出する内観イメージ
架構を現しにした外観イメージパース
木造仕口部分のデジタルモックアップ

木造仕口部分のデジタルモックアップ

作業所でのBIM講習風景

作業所でのBIM講習風景

木造仕口部分のデジタルモックアップ

3Dプリンタによる出力

飯田橋MKビル

飯田橋三丁目の自社所有地に計画されたオフィスビルは「飯田橋MKビル」として前田建設設計部門とグループ会社が入居することになった。自社物件であり今後の設計手法のモデルケースとなるべく、当初よりBIMのフル活用が求められた。従来の意匠設計・構造設計・設備設計だけでなく、鉄骨のファブリケーター、設備専門工事会社、サッシメーカー、昇降機メーカー等社外の関係者とデータの受け渡しをおこない、施工フェーズにおける実利あるBIM運用を検証した。設計のBIMデータを引継いで作業所にて更新する際には、鉄骨ファブと設備専門工事会社からは IFCデータの提供を受けている。サッシや昇降機メーカーからはArchiCADネイティブのBIMデータを受領することができた。今後の設計・施工のBIM活用におけるモデル物件となった意味で重要であり、とくに施工段階におけるBIMの課題もみえてきた。自社物件ということでさまざまな技術的な取り組みをおこなっているが、われわれ自身が建物のユーザーとなったときBIMデータをどのように活用していくのか、今後の維持管理でのBIMのあり方について身をもって体験し今後に生かす試みもおこなう予定である。
飯田橋MKビルパース

外観パース

飯田橋MKビルBIM透視イメージ

外装を透視したBIMイメージ

飯田橋MKビル
BIMモデルと工事状況の比較

施工中と竣工時のイメージ共有

手戻りや不具合は、出来型だけでなく施工状況のイメージを正確におこなうことで防ぐこともできる。BIMにより、同じシーンを、時間を追ってモデルを確認することで、建物に関わるすべての人間の認識を共有することが可能となる。
施工中と竣工時のイメージ共有

社外と協業する BIM の構築

鉄骨ファブや設備専門工事会社も施工初期段階からBIMの構築に参画した。実際の協力業者が手を動かすことにより、建築・設備・構造の干渉チェックはもちろんのこと、建築の下地の詳細等の付帯鉄骨も含めて確認をおこなうことで、手戻りを防止した。

設計・施工におけるBIMのフロー

施工中と竣工時のイメージ共有
施工中と竣工時のイメージ共有

ヨロズ グローバルテクニカルセンター

海外に複数拠点を有する自動車部品メーカーであるヨロズの国内研究開発拠点となるオフィスである。ブランド力向上に貢献しグローバル化を支えるファシリティとして、国道からの新しいアイキャッチとなるシンボル性、グローバル化構想に貢献する伝統進化を伝える製品展示スペース、モノづくりの最適な場を提供する明快なフロア構成が求められた。栃木県小山市の国道に面した立地であり視認性の高い建物になることから、社名サインの大きさ、設置場所の検討は慎重におこなわれた。数100m先から建物付近までの連続したシーケンスにリアルタイムウォークスルーを使い、発注者と設計者が共通認識をもって検討が進められたことはBIMならではのメリットであった。外観は金属製断熱サンドイッチパネルを基調に一部アルミパネルを組み合わせることで素材の統一感を保ちつつも、色彩・形態にアクセントをもたせる意匠としている。外装のディテールについてもBIMを用いて現場製作図レベルの確認をおこなっている。南北外壁両面に連窓サッシを設けて水平性を強調したデザインとしている。各所で室内へ自然採光を積極的に活用しており、屋上の太陽光発電と合わせて本施設は省エネにも配慮している。
ヨロズ グローバルテクニカルセンター

外観

BIM を用いた合意形成と施工検証

近年は施工のステップをBIMで表現する機会が増えている。金属製断熱サンドイッチパネルを 基調にアルミパネルを組み合わせるディテールについて、BIMでステップを交えた検証をおこなっている。また、外部サインの計画はBIM上で複数案作成され発注者へ提示された。
BIMによるサイン検証完成時のサイン

国道からのサイン検証

BIMによる館名板検証完成時の館名板

エントランスの館名板検証

パラペット外観写真パラペット製作図

パラペット外観写真と製作図

BIMによるサイン検証完成時のサイン

東側サインの検証

パラペット施工写真

パラペット施工写真

パラペットディテール
施工ステップ

STEP 1STEP 1

鉄骨(鉄骨ファブ工事)

STEP 2STEP 2

下地鉄骨取付(製作金物工事)

STEP 3STEP 3

アルミパネル天板取付(鉄骨ファブ工事)

STEP 4STEP 4

アルミパネル側面取付(鉄骨ファブ工事)

STEP 5STEP 5

ジョイント部シール(シール工事)