MAEDA+AASchool workshop
背景と経緯
当社とAAスクールは、1992年に当社がスポンサーとして開かれた「日本の若手建築家5人展:Invisible Language」のヨーロッパ展をAAスクールで開催したことから始まった。 それから30年にわたり交流を続け、同学ディプロマ・ユニットマスター(教授)の江頭慎氏が提唱する「Social Sustainability」をテーマに持続的な社会を探求するプロジェクトに取り組んでいる。
これはさまざまな人びとが集い対話することで未来へのビジョンを共創する取り組みであり、企業や学術団体に限らず、行政や市民の参加にも期待する開かれた試みである。 組織の枠を超え予算や時間といった制約を乗り越えながら継続的に活動し、普段集まることのない多様な視点が集い包括的に議論することはかえって合理的かもしれず、社会課題や自然環境に対して働きかける前向きなネットワークとなることを期待している。
MAEDA ワークショップの展開
2022 日英同時開催遠隔ワークショップ
2022年7月、“MAEDA Hooke Park Workshop”がイギリスにて開催された。森の間伐材を使って小さな構造物の製作が行われ、前田建設工業の社員も参加した。また、相互触発のために茨城県取手市のICI総合センターでも前田建設の若手設計者を集め同日程でワークショップを開催。加工が施された木の余材を使用することを条件とし製作活動を行った。2つのワークショップの共有テーマである“Structure of Behavior(ふるまいの構造物)”をもとに、双方のチームはwebを介して対話・情報共有し日英間でインスピレーションを刺激しあった。
Hooke Park in UK
2017 AAスクール WS 2017 in 東京 上野-御徒町-秋葉原-御茶ノ水-水道橋-飯田橋
AAスクールと東京芸術大学と前田建設工業(株)の共同でワークショップを開催。東京芸術大学のある上野駅から前田建設工業本社のある飯田橋駅まで電車で経由する6つの駅に着目。(上野-御徒町-秋葉原-御茶ノ水-水道橋-飯田橋)駅と都市のつながり、すなわち「駅を中心とした空間的な広がり」「機能的な結び付き」「人や物の流れ」など 都市の文脈を解析。コラージュとして紙に表現しプレゼンテーションした。
前田建設工業での中間発表会(2017/8/7)
ワークショップ4日目、建築設計統括部(本店)のある飯田橋MKビルにて中間発表会を実施。現地調査や成果品の製作も含めて3日間と短かい準備期間であったが、6チームとも素晴らしい発表だった。
中でも目を引いたのが御徒町チーム。折りたたんだ紙をストーリーに合わせてパタパタと展開しながらプレゼンテーションを進め、見た目も楽しくテンポの良いユニークなプレゼンテーションだった。
東京芸術大学 最終発表(2017/8/10)
最終発表は東京芸術大学にて行われた。東京芸術大学のFMスタジオに入ると、このような短期間で作られたとは思えない芸術作品が並んでいた。木と鉄とコンクリートを使った変形するオブジェやアメ横のガード下を緻密に描いた4メートル程もあるスケッチなど。
プレゼンテーションでは複雑な動線を織りなす構造体の形状・形態に注目した作品(上野駅)や個性的な街並みとそのつながりに着目した作品(秋葉原駅)、 街並みからテクスチャーをサンプリングした作品(御徒町)建造物の長方形の隙間から見える風景を動画にした作品(水道橋)の発表があった。
2009プレワークショップ
ワークショップのテーマと目的
2019年に環境経営No. 1を宣言した当社は、飯田橋再開発プロジェクトにおいて「環境をテーマとした解体」と題し、「解体」という過程のもつ、壊す、汚い、うるさいというマイナスイメージを超えて、なにか社会に発信できるものはないかを模索すべく、過去2度にわたりAAスクールと共同主催でワークショップを開催した。AAスクールでは2010年から世界4都市にてグローバルスクールが開催され、この2009年の2度のワークショップは、2010年秋に開催予定の極東地区でのグローバルスクール第一弾への橋渡し(プレワークショップ)として、重要な位置づけとなった。プレワークショップでは以下の2つの目的を設定し、それらに対し多角的な視点からの分析を試みるべく4種類のテーマに分けて検討、考察がおこなわれた。また、2回目のプレワークショップでは、2010年に飯田橋再開発の敷地内でおこなわれるグローバルスクールに向けて、1回目の検討結果をさらにブラッシュアップさせ、また1回目とは違ったメンバーが参加することで同じテーマ設定でありながら、より深度のある検討がおこなわれた。
AAスクール x MAEDAワークショップの目的
目的1. 解体する建物、解体に伴い発生する空間の利用の可能性を探る
目的2. 敷地のもつ歴史と新たに創造される空間への変遷を後世に継承する
先に挙げた2つの目的に対し、右に示す4つのテーマを設定し、第1回、第2回のプレワークショップをおこなった。飯田橋再開発の敷地内外に対してさまざまな視点からのサーベイがおこなわれた。短期間ながら激しい議論が交わされ、解体途中に発生する残余空間をポケットパークとして開放するなど、興味深い検討結果が得られた。参加することで同じテーマ設定でありながら、より深度のある検討がおこなわれた。
1. 解体に伴い発生する残余空間の分析
「短期間でも有効に利用できる空間を連続的に生み出す解体順序を探る」
ポケットパークの設置
2. 周辺エリアとのつながりをもった境界の提案
「仮囲いに付加機能を与えることで、工事現場に対する理解と認識を改善する」
やぐら式のスペースを利用した防音壁への映写
3. 解体途中における一時的な建物空間利用の可能性を探る
解体建物でのイベント開催
4. コラージュ的視点による場所性の再生のためのカタログづくり
「再利用できる材料、建具、樹木、石垣などを新たに再構築」