東京藝術大学国際交流棟
Hisao&Hiroko TAKI PLAZA
空間に自由度を与える木造ハイブリッド構造
東京藝術大学上野キャンパス内に計画された留学生と共に学び、交流できる国際交流の拠点となる施設である。
主に下階を鉄骨造、上階を木造とした5階建てのハイブリッド構造である。木造と鉄骨造を最適なバランスで組み合わせることにより、主要部材の軽量化を図りつつ、最大9mスパンにより空間の自由度を確保した。鉄骨と木の接合部の耐火被覆は載荷加熱炉による実験を行い、安全性を確認した。
3階以上の鉄骨床に採用されたNLT(Nail Laminated Timber)は、製材を並べて釘等によって固定し、面材を構成する工法で、北米では汎用的な技術である。人工気象室での実験を行い高温多湿の日本でも伸縮等の問題が生じないことを確認した。製材の活用を促す工法として今後の普及が期待される。またメインファサードの木ブレースは、地震力のみを負担することで耐火被覆不要とし、耐火建築でありながら木の構造体を見せている。
建物の内外には、「共に藝える」をコンセプトに、東京藝大の表現の場として大きく3つのパブリックアートを設けている。メインファサードの「変化し続けるパブリックアート」によって建物の顔を作ることで、アートが建物の主役となる構成を目指した。階段室には「留学生交流パブリックアート」として、藝大にゆかりのある留学生によって作られた陶板レリーフを、4F和室には「地産地消パブリックアート」として手すき和紙や欄間アートを設け、アートを通じた国際交流の促進を目指した。
所在地 | 東京都台東区 |
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主用途 | 大学 |
建築主 | 国立大学法人東京芸術大学 |
設計・監理 | 基本設計・実施設計・監理: 東京藝術大学キャンパスグランドデザイン推進室・施設課 基本設計・デザイン監修:隈研吾建築都市設計事務所 実施設計・監理:前田建設工業株式会社一級建築士事務所 |
施工 | 前田建設工業株式会社 東京建築支店 |
延床面積 | 1483.54㎡ |
規模 | 地上5階 |
構造 | 混構造(鉄骨造+木造) |
竣工 受賞 | 2022年11月 第5回COFI木造建築デザインアワード 中規模木造部門入賞 |