木材工場に行ってきた!

2025.02.13

はじめに

齋藤木材工業株式会社(以降齋藤木材)は長野県小県郡(ちいさがた)にある、丸太の仕入れから、製造、建方までの一貫体制中大規模木造建築物の経験豊富な「技術の会社」です。

2024年10月に齋藤木材のご厚意で林材工場(りんざい)とナガト工場を、前田建設の社員10名で見学させていただきました。斎藤木材は丸太をどこよりも高く買い、木を無駄なく有効に使うことで山にお金を返す流れを作ることをモットーとしている企業です。

林材工場の見学開始

林材工場は主にカラマツを丸太からラミナへ加工して集成材にする工場です。
ラミナになるのは、約6割です。

丸太の状態で工場に搬入されます。一日に200本程度加工するそうです。

丸太

丸太の内、ラミナになるのは約6割。残りの4割は薪とチップにして販売しています。

ラミナ6割

薪は主にキャンプ場へ、チップは製紙工場に向かいます。

薪・チップ

■カラマツの特徴■
マツ科カラマツ属の針葉樹で、日本産針葉樹のなかでは唯一の落葉樹。北海道や長野県、岩手県を中心に生息している。スギ材よりも硬度が高く、粘りのある材質で、耐水性や耐久性に優れており、以前は土台や土木用材、杭木、枕木などに多く活用されていたが、現在は主に針葉樹合板の原料として使用されている。

まずは丸太をトラックで搬入し、ヤードに下ろします。

丸太

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  • 本来であれば、丸太の在庫が豊富になりつつある時期ですが、今年は下草刈り等の作業が盛んで国有林の伐採が1ヶ月程度遅れておりヤードが空いています。
  • 木には末口※のサイズが記入されており、齋藤木材では34cmまで加工ができます。

■末口とは■
丸太 の太さを表す用語です。
通常、丸太の太さは直径で表し、丸太の一細い方(=木の上側)の直径を表しています。

末口

次々と工場内に運び込まれていきます。

工場

運び込まれた丸太は樹皮をむきます。

丸太

丸太から四角い材を切り出します。

丸太

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  • ラミナは8種類ある規格に合わせて適切なサイズに切断していきます

■丸太の切り方■


丸太から四角い材をつくるため、
右の図のように丸太は切り落とされます。
2本の切断機を使って、
2回の工程で四角い材が出来上がります。
四角い材はギャングリッパーで板に割られます。

蒸気式乾燥機で乾燥させます。ヤニが多いカラマツではとても重要な工程です。

蒸気式乾燥機

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  • 人工乾燥機で含水率はほぼ12%(含水率目標値は10%~13%程度、JAS規格では15%以下)になります。

  • 人工乾燥機ボイラーを動かす燃料に、木の端材をリサイクルしています。

  • 人工乾燥機に入れる際はまんべんなく乾燥を促進させるため、板の間に桟木を必ず挟んでいます。

  • 乾燥時のそりを抑えるため、ラミナ材を重ねた上に漬物石のように、コンクリートの塊を置きます。

  • 人工操乾燥は6日間行います。(かつては2週間でした。現在は6日よりも短い材木工場も多いですが、齋藤木材では湾曲やひび割れを避けるため時間をかけているそうです)

  • 乾燥時は湿気を与えながら乾燥させていきます。

  • カラマツはヤニが多い樹種ですが、乾燥によりヤニを飛ばす効果も望めます。

ラミナの検査工程です。含水率計にて含水率の確認、グレーティングマシンを使用して強度の検査をします。含水率が目標より高いときは再度乾燥をかけます。強度検査の結果に基づいて、ラミナはグレード別に5色に色分けします。

検査工程

4mから6mのラミナへ加工するために、フィンガージョイントで縦繋ぎをします。
齋藤木材さんのこだわりで、流れながら嚙み合わせるのではなく、一時停止してぐいっと差し込むことでより強固に縦繋ぎができるそうです。

フィンガージョイントの先端部

▲フィンガージョイントの先端部

フィンガージョイント接着後

▲フィンガージョイント接着後

これを磨くとラミナは完成し、ラミナを接着することで集成材になります。

ナガト工場の見学開始

ナガト工場では中大規模木造の加工を行っています。
下は大スパンの梁材を加工中で、接続部を後から穴埋めするために深めに穴を掘っています。

ナガト工場
ナガト工場

節の処理はパテではなく、木を埋め込むのが齋藤木材のこだわりです。

節の処理
節の処理

圧をかけて、接着し大断面を作り、切削します。

切削

加工機で注文の形状に加工をします。

加工機

齋藤木材では加工中はもちろん、加工後の木材輸送時も、汚れないように輸送業者にも協力いただいています。荷揚げの際の手袋の汚れから、トラックの荷台の汚れにも配慮し、現地まできれいなまま輸送できるようにしています。

齋藤木材が木を手掛けた物件見学

工場見学の後は齋藤木材が手掛けた物件を2軒、見学させてもらいました。
どちらも地元の木をふんだんに使った、シビックプライドをくすぐる良い建物でした。
なお、齋藤木材では特に指定が無ければ長野県産材を使用しております。

〈軒が美しい道の駅ヘルシーテラス佐久南 2016年竣工〉

道の駅ヘルシーテラス佐久南
道の駅ヘルシーテラス佐久南

〈外観にも内部にも木が多用されている長和町役場 2015年竣工〉

長和町役場
長和町役場

長和町役場は吹き抜けの階段が木でできており、設計者の興味をそそります。

見学をおえて

帰りには新幹線の時間まで1時間ほどお茶をしてからから帰りました。木の魅力たっぷりの見学会でしたので、一番の盛り上がりは「やっぱり木造は面白い」「(切実に)木造の設計をやりたい」の会話でした。齋藤木材様との実施物件、ぜひ実現したいものです。

齋藤木材工業株式会社 社長自らご案内いただきまして、誠にありがとうございました。齋藤木材の社員の皆様も、ご多忙な中誠にありがとうございました。
下記が齋藤木材のホームページになっていますので、こちらも併せてごらん下さい。

齋藤木材工業株式会社

齋藤木材様ホームページ

齋藤木材のサイトです。技術が丁寧に紹介されています。


工場紹介~「林材工場」|長野県の齋藤木材工業 (note.com) 

noteの記事です。工場のことが詳しく書いてあります。


mori no naka

冒頭にも記載した通り、齋藤木材では木を有効に使うために、ラミナにできない部分は、薪などに加工しています。上記サイトからも購入できますのでご興味ある方はぜひご活用ください。こちらから購入すると、森林に収益の一部が還元されます。